昨年末頃にお知らせ致しました、当社所蔵のアラハバキ(隨神像)<1520年、民部法橋作>二体一対の内、一体の修復が完了しました。 この度の修理は公益財団法人「住友財団」(http://www.sumitomo.or.jp/)の助成の元、二ヵ年計画で行なわれております。 経年による激しい劣化の為、早急な修復が求められるも、着手の目途が立たない状況が長らく続いておりましたが、この度の助成により無事一体が修復完了となりました。 具体的な修理内容は、 <本体> 1.表面へクリーニングを施した。ラテックスゴムを使用した。 2.浮き上がった彩色層は剥落止めを施した。メチルセルロース5%水溶液(MC)を使用した。 3.すべての矧目を解体した。 4.腐朽部にパラロイドB72を含浸し木質を補強した。 5.玉眼(水晶)、面部左頬部、両肩外側、両袖口から肘と腰脇にかけて、右手第二および三指先、両足首(すべて木曽檜材)、弓(晒真竹)、箭(木曽檜)、以上を新補した。 6.老懸の左方、眉と髭の植毛、体部と両体側との矧目前方のマチ材、腹前の紐結目、以上の後補部7、材は除去し、別置保存とした。 7.小欠失部を木曽檜材で新補した。 8.解体された部材は適正な位置で接合した。人工木材(エポキシ樹脂に無機物を混合)にて行った。 9.矧目は表面のみ砥粉下地(パラロイドB72を展着材とする可逆性)で補修した。 10.補修部をまわりにあわせて補彩した。アクリル絵具を使用した。 <台座> 1.表面へクリーニングを施した。並行して浮き上がった彩色層の剥落止めをMCで施した。 2.すべての矧目を解体した。 3.解体された部材を適正な位置で接合した。人工木材を使用した。内部の構造補強を施した。 4.新補部材と補強部材は木曽檜材を使用した。 5.矧目を砥粉下地で補修した。 6.補修部をまわりにあわせて補彩を施した。補彩はアクリル絵具を使用した。 以上の内容です。 二体一対の内、もう一体の修復が完了後、富士吉田市歴史民俗博物館企画展にて公開される予定です。
(修復前 正面) |
(修復後 正面) |
(修復前 右側) |
(修復後 右側) |
(修復前 左側) |
(修復後 左側) |
(修復前 背面) |
(修復後 背面) |